プロジェクトオーナー
NPO法人五つのパン理事。訪問介護「五つのパン」、障がい者作業所兼コミュニティカフェ「マローンおばさんの部屋」、高齢者のセーフティネット推進事業としてものづくり継承とカフェ業態を兼ねる「いのちの木」の運営を都筑区仲町台でおこなっている。会社勤めをしていたころ視覚障がいの青年と出会い、働くことの厳しさや社会の偏見に苦しんでいることを知る。3年後、会社を辞め、早朝はファミレスで、昼間は高齢者施設でアルバイトをし、身体障がい者のグループホームで夜勤をしながら、様々な現場を経験する。2002年6月、五つのパンを設立。2009年9月、絵本とカフェをテーマにした精神障がい者の地域活動支援センター「マローンおばさんの部屋」をスタートする。2011年、東日本大震災の影響で困難を抱える高齢者が地域にいることがわかる。かねてから高齢者や職人から技術を継承することにより、障がい者や若い世代が生活の糧となることを考えており、そのアイデアを生かして2011年度横浜市セーフティーネットモデル事業の募集に応募、採用された。2012年1月、高齢者のセーフティネット推進事業としてものづくり継承とカフェ業態を兼ねる「いのちの木」をオープン。2012年4月からは自主運営となり継続維持する為に、試行錯誤を繰り返す。
少子高齢化のなかで税金が少なくなる反面、市民の福祉に対するニーズが年々増していることを体感する。特に、福祉制度に当てはまらないが生活にリスクがある人々が増えていることを知り、市民が市民を支える為の仕組みの模索を始め現在に至る。
それぞれの辿ってきた道
2014年11月4日
「故郷が懐かしです。仕事を続けたかったのですが、時代に追い付いてゆけなくなったのです。
孫の面倒をみる。それも楽しいのですが、もう一度、仕事がしたいのです。」家具の職人でした。「私たちは老人ホームから脱走して来ました。規則ばかりで人らしい扱いを受けていなかったのです。」数千万もする高級老人ホームでのことだった様でした。現在は賃貸住宅で暮らされています。
「親が元気だから良いわけではありません。孤独な夜に先のことを考えます。老いてゆく一方で、明日がどんな日になるのか不安なのです。」
これらの言葉は、私の事として迫りました。老いてゆく親の思いに耳を傾けたいたでしょうか？
そんな時間を作っていたでしょうか？
急に、電話をいれるなどして会話をしたりしました。
このような方々が、自然発生した「編み物の日」に集まって来ました。
子どもたちに編み物を編んで着せていた世代です。たとえ認知症になっていたとしても若い時に覚えたことは忘れません。互いに名前を覚え、出身地を覚え、ご主人を亡くした悲しみを語り合い、その思い出を語り合い、子供たちが心配なこと、孫たちの自慢など月二回の編み物の日を喜んでおられました。
それぞれに編み方や技術に違いがありましたが、それを教え合い、編み物の冊子を持ってくる若い人たちのリクエストにも応えていました。
さまざまなリクエストに応えていた私の母に聞いたところ「普段は友達と美味しい物を食べにゆくだけ、編み物しながら手を動かしているのが一番楽しい」と語っていました。
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